Cliffrose Letter vol. 47 大根おろしと「ちりとてちん」
長くご無沙汰いたしました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。
私、Chiekoと息子Masakiは、この夏のシーズンは大勢のお客様をお迎えし、
有意義な日々をすごさせていただきました。これもこのすばらしい国カナダに
住まうことができたおかげと亡き夫に感謝せずにはいられません。
さて久しぶりのCliffrose Letterです。息子は外食事情をお知らせして
おりましたが、私は今日はマイナーな、しかし、やはり食いしん坊の
食べ物の話です。
バンクーバーは韓国系の移民の方が多いので、彼らの食する新鮮な
野菜が多く、お料理するときにはとても助かっています。その中の大根の
話です。
揚げ出し豆腐、おろし蕎麦、しゃぶしゃぶのおろしとねぎとポン酢のたれ、
それにもちろん、秋刀魚や焼きさば、焼きいわしなどの添え物など、おろし
大根があるとなしでは格段の味の違いがあります。
しかし、正直、大根をおろすのは大変です。わが細腕?には力がありません。
もうひとつ、カナダのシンクの高さが大根おろしをするには高すぎます。
本当に葱を刻むのも、ちと、背の低い私には難しいのです。
で、いつも、息子にやってもらうようにもっていきます。大根おろしあったほうが
いいよね、なんて話しかけてみるのです。たいていはやってくれるのですが、
たまにだめなこともあります。大根おろしは何しろ力が要るしめんどくさい。
だいたい温泉卵作る機械はあるのに、なんで大根をごしごしおろす機械は
ないのだろうかと、今は鬼籍に入った友人と電気店を探し回ったこともありました。
さて、それが一挙に解決するときが来ました。一週間ほど前です。NHKの
「ちりとてちん」で落語家になりたい主人公が、それを許さない母親と競争する
場面がありました。おろし大根をたくさんおろせたら落語家になるのを許すとか。
若い経験の浅い主人公が、百戦錬磨の母親に勝つことは、普通できませんよね。
そこで彼女は小型のフードプロセッサーを持ち出します。あ、と私は思いました。
あんなものでおろし大根なんかできるわけがありません。私ももう二十年持って
いますよ、その機械。できないと思ったからこそ、主婦暦45年もの間この私でさえ、
試してみたことはなかったんですから。
ところがです。見事にできているのです。ドラマの上では。ええーーーっ。そんな。
うっそーーー。状態で、もちろん私はすぐさま試してみました。
できるのです。見事に、簡単に、立派な大根おろし。あああ、損をしました。長い間。
葛藤の連続でした。腕は痛いし、めんどいし。45年の人生果たして私は何をして
きたのだろうかと考え込んでしまいました。
たまにお客様で、焼き魚に添えた大根おろし食べない人いますよね。ごめんなさい、
内緒ですが、蹴倒したいほど腹がたつのです。作り手の苦労も知らないで・・・、と。
それは悲しいほどです。笑
実は私、少し醤油をたらして、そのままジュースのように飲むのがすきなのです。
ああ、これなら毎日でも食べられる、私にとってはとてもうれしい発見でした。
思い込みというものは、怖いものですね。長くお料理していながらこんなことも
知らないで、今回は私の馬鹿さ加減をご披露いたしました。皆様もぜひお試しに
なってみてください。えっ?そんなこととっくに知っていたって?ですよねえ。
お後がよろしいようで・・・・。
今年の秋は思いのほか長く美しい紅葉に出会えました。マウント・ベーカーも
すでに厚く冠雪し、晴れた日はリビングルームから雄姿を見ることができます。
夫があの山で眠りについて十年になります。彼のいない十年、面白い十年でも
ありました。これからも残された日々を楽しく生きていければいいなと思っています。
お読みくださってありがとうございました。
Cliffrose亭 亭主 柳谷Chieko拝
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Love from Chieko Yanagitani in Greater Vancouver
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