1999年11月2日 1:16
ヘンケルの牛刀
料理好きの私は、鳴海チャイナの洋陶器を一そろいとヘンケルの大きな牛刀だけを持って、カナダにやってきたのだった。
実は日本にはプロが使うほどの高価な刺身包丁から、中華包丁まで20本はもっていた。そのうちから、数丁持って出てもよかったのに、そうはしなかった。
日本にあるものは、日本での生活の匂いのあるものは、なにも持って出たくなかったのである。真新しいヘンケルの高価な包丁を一丁買って、カナダにやってきたのだった。
さて、話はここから、実は箸一本からそろえなければならなかった私は包丁はたった一本。実はこの高価な包丁の背を、ハンマーで叩きながら大きな冷凍のマグロをさばいていたのである。
そして、一年半。ハンマーに叩かれ続けた背はくぼみ、取っ手はガタガタになってしまったのは、ヘンケルの製品の品質のせいでないことは、明らかだった。
私はモールにあるヘンケルのお店にでかけ、たどたどしい英語で、取っ手のくぎを買いたいのだがといったのだった。すると女主人が、つらつらと包丁をながめ、いずこかへ電話を掛け始めた。受話器を置いた主人はおもむろに私にこう言った。この包丁は14ドルで新しいものと交換することが出来ると・・。
思いもかけない話に、私は恐る恐る言った。実は、日本で買ったものなんです・・。すると彼女、That's OK.。この包丁がどの国で売られようと関係無いと。どんな風に使われようと関係無いと。包丁の表には通し番号が彫られていて、この包丁のヒストリーがわかり、保証されているのだからと。
わたしは、なんだか、うれしかった。新しい包丁をもらえるのもうれしかったが、私の痛めた包丁もきっと溶かされ再生されるに違いないとも思った。
そして、まだまだ冷凍のマグロをさばきつづけるだろう、私の未来を思った。
********************************************************
Love from Chieko Yanagitani in Greater Vancouver
E-Mail cyanagitani@shaw.ca
MSN cyanagitani@hotmail.com
URL http://www.cyanagitani.com
ICQ #4524885 #67136024
********************************************************