すでに人生も半ばを越えた私がカナダに移住する事になった理由は
ひとえに夫が突然旅立ってしまったからである。
大阪弁護士会の弁護士であった夫は、とても健康な人であった。スポーツマンで
あったし、私とちがって節制の出来る人でもあった。誰が彼の死を予見できた
であろうか。死の一ヶ月前まで、彼は死とはほど遠い存在であった。わたし達は
幸せの中にいて、幸せにどっぷりつかったまま、恐ろしいほど油断していたので
あった。それだけに思いもかけない事実の到来に、わたしは泣くのさえ忘れて
しまっていた。夫の死は、わたしにとって現実となったのは、カナダに移住して
一年も経ってからのことである。
これは、夫の旅立ちの日からカナダ移住後に至るまでの、私的な私的な
CliffroseLetterである 。